m-essay-title.jpg


to painting menu
ギターと30年!

 思い起こせば、初めて自分のギターを手に入れてから、もうすぐ30年になろうとしている。ああ、思い出さなければ良かった..というほど長い時間だ。この間にちゃんと真面目に練習していれば、今頃プロだ! うそです。そんな甘いもんじゃありません。練習量だけでプロになれるぐらいなら誰も苦労はしない。というわけでプロにはなれなかった私ですが、この30年、たっぷりとギターを楽しんで来ました。いや、この後もしつこく楽しむつもりですけどね。

 初めてギターというものを抱いたのは小学生の時。友達の兄さんのギターでドレミを教えてもらいました。でも、その時はそれ一回だけ。中学校に入ると演劇と絵に目覚めてしまいましたから、音楽の時間に大きな声で歌を唄う以外は音楽とは無縁でした。高校に入るとお年頃というのでしょうか、ギターを弾けるのが格好よく思え、自分で作っちゃいました。ギターというよりイターという代物でしたけどね。エレキギターみたいに厚みのないイターにスチール弦を張って、それでも歌謡曲をなぞるぐらいのことはしてましたよ。

 高一の夏だったでしょうか、長崎市内に就職していた兄にねだって中古のギターを買ってもらいました。三千円でしたが、私にとっては憧れの「本物」のギターです。その頃ギターブームで、NHK教育では「ギター教室」が毎週放送されていましたから、飢えた狼が子羊をむさぼるように、違う違う、乾いた土に水が染み込むように知識を吸収しましたね。だから、私はずっとクラシックギター一筋で、フォークだとか歌伴だとかには無縁でした。それで今は少し苦労してますけど。

 カルリやらジュリアーニやらソルやら弾いて、いっぱしのギター弾きぶっていた私は大学に入って愕然としました。大学のクラシックギター部にとんでもない人がいたんです。私からみればプロのような技術と高度な音楽性を持つ2つ上の先輩でした。レコードでしか聴いたことのないような曲をいとも簡単に弾くその人に憧れ、私のギター熱は一気に加速しました。振り返ってみても、私の最終学歴は長崎大学ギター部だと断言できるほどです。

 それほど打ち込んでいたギターでしたが、絵とバイトに明け暮れる神戸での生活の中ではなかなかそれ以上の上達は難しく、昔覚えた曲を時々弾く程度になってしまいました。やはり、発表の場がなくなってしまったのが大きかったのかもしれません。ところが、震災後ここ大分に居を移してから、眠っていた情熱に再び灯がともることになります。「Guitar Duo NIC」に書いてあるような出逢いと、マンドリンクラブへの参加があったからです。それからは、私の生活の中で絵とともに大切な両輪としての大きな存在になっています。より高いレベルを目指しての努力ももちろん大切なことではありますが、今はそれ以上に、音楽を楽しむこと、楽しんでもらうことの方に気持が移っているかもしれません。ソロ、デュオ、合奏、編曲、指揮とこの片田舎に音楽の下地を作るべく、活動を続けています。まだまだしつこくギターを弾き続けていきますよ。

inserted by FC2 system