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演奏(合奏)の基礎知識

 これは私が参加している合奏団のために過日「たわごと」に掲載したものですが、ここに再掲します。

<わかりやすさ>
 演奏で最も基本的なことです。具体的には安定したテンポ、リズム、表情です。技術的な都合によるテンポ、リズムの乱れには特に気をつけねばなりません。

<テンポ>
 最初の音が出る前にテンポは決まっていなければなりません。合奏では、指揮者の予備拍から振り下ろしまでのスピードで最初のテンポが決まりますので、しっかりと見る必要があります。また、途中でテンポが変わる時も顔を上げて下さい。

<リズム>
 基本的には各小節の一拍目は強拍で、弱拍との関係でリズムが決まります。小節最後の不安定な弱拍が次の小節の強拍で安定しようとする流れが、音楽の進む力を産みだします。小節間を繋ぐわけです。このためには、最後の弱拍で吸って強拍で吐くという呼吸が必要ですが、フレージングの事とも関係してくるので呼吸については後述します。

<フレーズ>
 フレーズというのは文章でいう一括りの文のことで、点や丸をつけて読みやすくわかりやすくしたものです。点や丸のない文章がわかりにくいのは知っていても、演奏では平気でやってしまいがちです。どこに点や丸をつけるか本格的には難しいことなのですが、まずはメロディを歌ってみて下さい。切れ目がわかるはずです。合奏の場合は指揮者が指示しますので厳密にそれに従って下さい。メロディー以外のパートも、伴奏の場合はメロディーのフレーズに添いますが、独自のフレーズを持っている場合は指示に従って下さい。フレーズの表現法については次の項目で説明します。

<呼吸法>
 普段、私達は何げなく息をしていますが、その呼吸の仕方にはいくつかのパターンがあります。たとえば、ホッとした時には大きく吐きます。不安だったり緊張してくると浅く吸うことが中心になります。よーし、という時には大きく吸いますよね。これは状況に人間が反応してのことなのですが、逆に呼吸によって感情を表現することができるのです。ためしに大きく吸ったり、大きく吐いたり、小さく浅く速く吸ったりしてみて下さい。意味することがわかると思います。これを演奏に使います。というより、これをやらなければ決してよい演奏はできません。合奏の場合、具体的には、まず指揮者の予備拍の時に吸います。そして最初の音出しと同時にゆっくりと吐きます。フォルテ以上の強い音で始まる場合は当然強く吸って強く吐きます。そしてフレーズの最後のあたりで静かに吐き続け、次のフレーズの前でまた吸います。途中は曲の表情によって自然に呼吸します。どうでしょう、難しいですか。合奏の場合大事な呼吸のポイントは、フレーズの前で吸うことと、最後のあたりで吐きつづけることです。細かいことは練習の中でやるとして、ひとまずこの2点だけは出来るようになってください。決して呼吸に無頓着な演奏はしないように。なぜなら「息の合った」合奏を目指しているのですから。

<指揮>
 指揮者の指示したことは、必ずその時楽譜に書きとめること。最低限、フレーズの最初と最後は指揮を見ること。指揮者が指示を出している時はできるだけ音を出さないこと。うるさいようですがよろしく。

<音量>
 表現法の一つにダイナミズムというのがあります。音量の増減によって表情付けをしていくのですが、当然音量の差は大きい方が表情豊かです。多数で演奏しているとどうしても遠慮勝ちになってしまい、結果として寂しい演奏になってしまいますので、練習のときからフォルテはより大きくピアノはより小さく心がけて下さい。間違いなど気にせずに。そのためには、何度もいうようにmpかmfを自分の基準の音量にしてその前後は倍の音量の差で弾くようにして下さい。

<クレッセンド、デクレッセンド>
 人間の感覚的な問題として、これらは指示記号のように均一な音量増減ではなく、最後のほうに向かって効果が大きくなるように演奏して下さい。

<和声>
 難しいことは置いておくとしても、音楽が安定から不安定(あるいは緊張、興奮)に向かい、最後はほとんどの場合また安定に向かうことを理解して下さい。その場合和声進行がその重要な鍵を握っているので、理屈ではなく、全体の響きをよく聴きながら演奏してもらいたいと思います。少なくともメロディーを奏でる時は伴奏の響きを、伴奏をする時はメロディーの動きを聴いて下さい。


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