p-tec-title.jpg


to painting menu
色を混ぜすぎないこと

 展覧会を観ていて時々鈍い発色の絵を目にします。混色のしすぎです。絵の具は混ぜるほどに黒っぽくなってゆきます。当然発色も鈍くなってしまいます。とはいえ、まったく混ぜないで意図する色を出すこともできませんから混色するのですが、出来るだけ混ぜる色数を押さえましょう。パレットの上で混色をしないで意図する色に近づけるためのいくつかの方法があります。

 その一つは重ね塗りです。油絵の具はもともと半透明なので相当の厚塗りでない限り下の色は透けて見えます。これを利用して色を作るのです。まずは目指す色より明るめの色を塗って乾かします。その上から薄めに溶いた暗めの色を重ねます。まだ暗さが足りなければ乾くのを待ってもう一度暗めの色を乗せましょう。これを繰り返すことで鈍くならない暗めの色を作ることができます。古典的な技法ですが有益です。

 もう一つは、人間の視覚の性質を利用した方法です。人間の眼には隣接した異なる色が離れて見ると一色に見えてしまうのです。小さなタッチでいろいろな色を並べていくと、その組み合わせによってある色に見えます。これはスーラを始めとする印象派の人達が盛んに用いた技法ですが、タッチをより細かくすることでリアルな絵にも用いることができます。当然、制作中は時々離れて効果を確認する必要があります。


inserted by FC2 system