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三角構図法

 さて、こうして水平方向の力と垂直方向の力関係は理解できたとしても、何をどう組み合わせれば効果的な構図が生み出されるかはわかりませんね。今度は組み合わせ方の基本型について述べます。

 今、仮にこの方法を『三角構図法』と呼ぶことにします。これはあくまでも私の方法論なので一般的かどうかはわかりませんし、名前などどうでもいいことなのですが。たとえば、何かモチーフとなるものが一個である場合は、その配置は画面の縁にのみ関係します。それ以上の関係はどこにも発生しません。2つになるとそれぞれの位置関係が動きを生み出し、引き合ったり反発したりし始めます。ところがこの偶数の関係は引き合うか反発するかのどちらかであり、引き合って安定してしまうか、反発しあって不安定になるかしかありません。また、画面の縁との関係からみれば、2つのモチーフを結ぶ線との関係であり、完全な安定か、完全な不安定しかありません。中庸がないのです。ここにもう一つモチーフを加えると何が起きるか。友人関係と同じで、二人では安定してしまっていた関係にもう一人加わるとドラマが生まれますし、決裂寸前の二人の間にもう一人加わることによって仲を取り持つことができるのです。比喩が唐突でしたか?

 この関係を図形として見れば、そこには三角形が出来ています。三角形というのは面白い形で、四角形や円に比べそれ自体が動的な存在です。底辺が水平である時は強固な安定を示し、そうでない時には強い動きと緊張感を持っています。画面上に一つの三角形だけでは単純過ぎる場合は、複数の三角形が出来るように要素を増やしていきます。全体としては大きな単純な三角形でありながら内部的には複数の三角形を内包し、それに円や四角の要素が加われば、複雑でありながらも理解しやすい構成が可能です。


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