さて、初めての教室で古株の面々に挨拶をしてデッサンを始めるとまもなく先生がやって来ました。2時間のあいだ、先生も皆と一緒にイーゼルを並べ裸婦のデッサンをしていました。時々その様子を盗み見したんです。いやー、手を動かすスピードの速いこと。躊躇することなくグイグイと描き進めてゆきます。薄く当たりをつけたりなどということは一切しません。最初から黒々とした強い線で描いていました。髪の部分など、もうそれ以上濃い調子がつけられなくなると、どうしたと思います? 手に唾をつけて(!)それで擦るんです。いやいや驚きました。あの強いデッサンはこうやって描いてるんだなって。
デッサンが終わって帰り支度をしている時、先生が皆を呼び止めました。「今日は皆でうちに来ませんか?」 ワクワクしましたね。あこがれの先生の家にとうとう行けるんですから。