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弔いの酒

 そんなチータが突然死んでしまったんです。本当に、ある日突然でした。連絡を受けて駆けつけてみると、前庭の片隅の土がこんもりと盛り上がっていました。あまりのショックで気が動転した先生が自分の側に埋めてしまったんです。その後、それは良くないと友人に諭され、慌てて私を呼んだのでした。引き取りにきた業者の人と私とで土を掘り返しましたが、毛布にくるまれ、少し硬くなり始めたチータの脚を見た時、私も堪え切れず涙が溢れてしまいました。つい何日か前まであんなに元気に走り回っていたのに..。強くて優しい、とても優しいチータでした。

 掘り起こされたチータを前にしてうなだれている私に、先生がグラスを差し出しました。一緒に弔ってくれというのです。私はグラスいっぱいに注がれたウイスキーの3分の1ほどを飲みましたが、それではいけないのでした。一息で飲み干しなさい、弔いの酒はそうやって飲むものだと教えられ、慌てて飲み干しましたが、それは、とても悲しく、とても苦しい別れの儀式でした。


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